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2014/06/07 土

(患者を生きる:2512)子に希望を 食物アレルギー:1 粉ミルク、全身紫色に:朝日新聞デジタル

(患者を生きる:2512)子に希望を 食物アレルギー:1 粉ミルク、全身紫色に:朝日新聞デジタル

大阪府大阪狭山市の市立北小学校。給食の時間に10歳の女の子が職員室に駆け込んできた。

 「はい、田野(たの)ちなりさん」

 教頭先生が名前を確認して、容器を渡してくれた。中身はポテトサラダ。ジャガイモを細切りにして、塩で味つけしてある。卵にアレルギーがあり、マヨネーズが食べられない児童向けのメニュー。教室に戻って食器に移し、友達とおしゃべりしながらほおばった。

 ちなりさんに初めてアレルギーの症状が出たのは、生後5カ月。「体重が増えにくい。母乳のほかにミルクもあげて」。乳児健診でそう言われた母成美(なるみ)さん(38)はある夜、粉ミルクを溶き、哺乳瓶でちなりさんの口に含ませた。

 わずか2、3滴。その瞬間、顔が腫れ、唇、全身が紫色になっていく。勤務中の夫雅樹(まさき)さん(42)に電話したら、「すぐ救急車を呼べ」。震える指で119番した。

 夜間救急の医師は「アナフィラキシーショック」の可能性を指摘した。複数の臓器に重い症状が出て、血圧低下や意識障害に陥り、生命の危険もある。

 入院して血液検査を受けた。小麦、大豆、卵、牛乳、肉……。次々に陽性反応が出た。離乳食の時期なのに、食べられるのは米とイモぐらいではないか? 「えらいことになってもうた。大人になれんのか」。夫婦で途方に暮れた。

 「アレルギーは親が治す病気」。医師からそう言われ、成美さんは情報をかき集めた。「アレルギー」と書かれた図書館の本はすべて借りた。「もっといいものを食べさせればよくなる」。周囲のそんな言葉に自分を責めた。自然食品や浄水器を探し求めた。

 朝、かきむしって血まみれになっていたことがある。アレルギーの原因となる食品の食べこぼしがどこかにあったのだろうか。肌に触れないよう、真夏も長袖を着せた。妹をかわいがる姉雅(みやび)さん(13)には、ちなりさんにほおを寄せないよう言い聞かせた。

 雅さんが幼稚園に入ると、弁当作りに悩んだ。雅さんにアレルギーはない。栄養のあるものを持たせたいが、ちなりさんが誤って触れるのが怖い。おかずは水気をしぼったみそ汁の具やイモばかり。「あかんな……」。落ち込んで2週間ほど寝込んだ。

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