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2014/06/08 日

(患者を生きる:2514)子に希望を 食物アレルギー:3 校長の発案で注射の研修:朝日新聞デジタル

(患者を生きる:2514)子に希望を 食物アレルギー:3 校長の発案で注射の研修:朝日新聞デジタル

 2010年4月、食物アレルギーのある田野ちなりさん(10)は大阪府大阪狭山市の市立北小学校に入学した。両親は「エピペン」を持ち込みたいと入学前から学校に要望した。給食などを食べ、血圧低下などの激しいアレルギー反応「アナフィラキシー」が出たとき、症状を改善させる注射薬だ。

 学校の対応については08年、日本学校保健会がガイドラインを出した。教職員が学校でエピペンを注射しても医師法違反にならないとの見解も示された。だが、具体的な対策は浸透していなかった。当時校長だった伯井正美(はくいまさみ)さん(60)はガイドラインを読んで、母成美さん(38)と面談。原因となる食品や症状を主治医が記載した書類を提出してもらった。

 成美さんは、ちなりさんの治療経過や症状が出たときの写真を付けたファイルを伯井さんに渡した。夫婦で話し合い、幼稚園のときにファイルをつくり、更新してきた。「伝えなければ先生たちも分からない。SOSを出したら助けてもらえるようお願いしよう」

 伯井さんは、ファイルをもとに、アナフィラキシー症状が出たときの行動マニュアルをつくり、すべての教職員に配った。万一の救急搬送に備え、消防の担当者を交えた面談もした。

 父雅樹さん(42)も一度、面談に足を運んだ。「食べることはほかの子と違うが、それ以外は変わりません」。家族として臨む姿勢を見せたかった。

 「一緒に考えながらやっていきましょう」。伯井さんに言われ、夫婦は学校への信頼を高めた。

 ちなりさんのエピペンは、学校にいる間は伯井さんが預かることにした。でも、先生たちが使えなければ意味がない。

 「エピペンの使い方を教わりたい」。伯井さんは、ちなりさんの主治医で府立呼吸器・アレルギー医療センター(大阪府羽曳野市)の亀田誠さん(50)に依頼して、研修会を開いた。

 5月末。市内の小中学校の教職員、市の学校給食センター、市教委の担当者らが北小に集まり、アレルギーやアナフィラキシー、エピペンの使い方を亀田さんから学んだ。「いざというときは守ってくれる」。同席した成美さんは、周囲の支えを心強く感じた。

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