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最近注目されているのは「安くて豊富な石油の時代が終わりつつある」という「石油ピーク論」だ。寿命があと何年にせよ、産油量はすでに最盛期を過ぎつつあり、今後は緩やかに減少するとみる。
油田は掘り始めは勢いよく噴き出すが、次第に自噴しなくなる。そうなると、ガスや水などを注入して圧力を加え、地中から押し出さなければならなくなる。世界の主要油田はすでにこうした状態に追い込まれており、次第に枯れつつあるというわけだ。
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一方、こうした石油ピーク論には異論もある。石油鉱業連盟の庄司太郎・企画調査部長は「最新の開発技術を考えると、産油量はまだまだ伸びる」という。
地中に眠る石油のありかを探す探鉱技術が進歩し、より深く井戸を掘る掘削技術も向上している。加えて、原油高によって従来は採算が合わなかった油田も生産の対象に入ってきた――。
いずれの立場にたつにせよ、エネルギーの効率的な生産と使用が大事だ。
もったいない学会メンバーで、電力中央研究所の天野治さんは、EPR(エネルギー・プロフィット・レシオ)という指標を重視する。
これは投入エネルギーと、生み出されるエネルギーの大きさの比で、たとえば自噴する油田のEPRは100以上だが、エネルギーを使って圧力をかけて採る油田では1ケタになるという。
こうした指標を、石油だけでなく、風力、太陽光、原子力などについても計算して比べる作業を進めており、天野さんは「これからの効果的なエネルギー利用を考えるために、大きな手がかりになる」と、EPRの重要性を訴えている。>