朝日新聞デジタル:「国内加工」とあるけれど… 実は外国産の原材料も
朝日新聞デジタル:「国内加工」とあるけれど… 実は外国産の原材料も
原産地表示は一つの情報にすぎず、品質や安全性が保証されるわけではない。なのに、表示があれば安心だと期待しすぎる消費者は多い。
以前、冷凍ギョーザ事件が起きた時、中国産食品をすべて避ける人が現れた。福島の原発事故後は一転、輸入食品を選ぶ動きもみられた。産地に対する価値観がその時々で変わるのは、消費者に「表示は食品を選ぶための材料で、主体は自分だ」という意識が根付いていないためだ。
食べ物の産地を知りたいという消費者の気持ちに、事業者はこたえる責任がある。ただ、伝える方法はネットでの情報公開など、目的に合わせて柔軟でいい。消費者が「心地よい表現」ではなくて正直な表示を続ける事業者を評価すれば、長い目で見て互いの利益になるだろう。
一方、事業者も目先の利益にとらわれ、消費者とよい関係を結べていない。たとえば、商品に「保存料不使用」と書けば売れるかもしれないが、保存料はすべてよくないという誤ったメッセージを送ってしまうことになる。食品の品質保持に欠かせない添加物もあるのに、消費者が正しく理解する機会を奪っているようなものだ。