空飛ぶサーモン:ノルウェーから/下 競争力支える最新設備 - 毎日jp(毎日新聞)
シロザケが輸出に回されるのは、安いチリ産養殖サケなどに押され、日本であまり売れないからだ。
EUに輸出するのになぜ中国経由なのか。北海道漁業協同組合連合会によると、EUへ輸出するには厳しい衛生管理基準を満たした施設が必要だ。だが、それが日本にはない。製品のフィレに加工するには骨の除去などに労力がいるが、その任に堪える労働力もない。
だが、中国には最新設備があり、日本より人件費の安い若い女性労働力が豊富だ。同連合会販売担当者は「施設整備に多額の投資をしても日本で採算がとれるかどうか分からない」と言う。
一方、輸出重視のノルウェーでは、相手国の基準に合った衛生管理を徹底させている。たとえば、EU基準では港に着いた船からシシャモやサケなどを加工場に移すのに、魚を外気に触れさせてはいけない。同国のロフォーテン諸島の港では船の中から伸びた細長いポンプで魚を送っていた。
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同国のサケ養殖を視察した小野征一郎・近畿大学教授(水産経済学)は「国と生産者が一体となって、海の環境を守りながら、持続的な漁業を維持していく。そんな強い姿勢が印象に残った」と話す。同国では、国の支援を受けた漁業生産者が世界の消費者のニーズに応え、豊かな漁業を切り開いていた。